生きることと芸術と
A Piece of Life
2019年10月19日(土)-11月4日(月)
大﨑土夢 鈴木孝幸 藤井龍徳  +大和由佳

時代が変わった
変わっていく
前へと
進まなければならない

未来志向の前向きな意識として捉えるか、環境や状況の変化による必然と捉えるか、または集団による同調圧力として捉えるかは、人それぞれ異なることでしょう。
それでも時代は変わっていきます。
変わることで、人を勇気づけたり、人に活力を与えてくれます。
それはそのまま、社会全体の活力として置き換えることもできるでしょう。
ただ、そこで変わっていくのは表層の変化にすぎません。
時代の変化は、人の細胞や遺伝子、生まれ持ったものにまで即座に影響を及ぼす類のものではないからです。

人は体を持って生まれます。
日々その肉体とともに様々なことを感じています。
しかし、実のところ自分自身についてよく分かっていない、という実感もあるのではないでしょうか。

意識は、自分の体を上手にコントロールできないことがしばしばあります。
食べたいという欲求とそれを制御する感覚、食べたことによる自分自身への影響は、必ずしもバランスを保っているとは言えません。
夏の暑い日に、食べ過ぎは良くないと知りつつ冷たいかき氷をたくさん食べることは、とても危険に満ちています。今にもバランスが崩れてしまいそうです。
私たちの住環境づくりにもまた、同じようなことが言えるのではないでしょうか。
花粉による体への影響は、花粉症が一般的によく知られる以前からあったことでしょう。しかし、それを予見できなかったことが、植林の山々とその大量の飛散を導いたと。
体にとって有害なものの蓄積は、しばしば後れて影響が現れます。化学物質に囲まれた現代の私たちの生活は、知らず知らずに体にストレスを与えている可能性もあると言えるでしょう。
自分にとって何が良くて何が悪いのか、実のところ良く分かっていないことはとても多く、直感的に判断することの難しさは、現代の共有の問題と感じられます。私たちの体に入るものに直に触れることの少ない時代においては、当然のことと言えるかもしれません。

また、私は何者であるか、という問いかけについても触れておきたいと思います。心の問題にも。
その問いに対する答えは、私をとても安心させてくれます。
しかし、私の中の何かを誤魔化しているようでもあります。時にそれは、自分を意識の中に閉じ込めるものとして働くかもしれません。
生まれ持った性質、周囲の状況、環境、様々なものの影響を受け、人は生き物として日々変化しています。私は何者であるか、という問いに対する答えは無限にあるとも言えるでしょう。
そこには、私という単位でものごとを考えることの限界すら感じられます。
私は、何者かである、という自己との一致の上によく生きられる存在であるとともに、環境により大きく変化していく、あいまいな存在でもあるのではないでしょうか。

生きることと芸術と。
それらは、無関係なものではありません。
時代が変わっても、人は簡単には変わりません。自分の中から命じられた時にだけ、変わっていくのかもしれません。そしてその時、ようやく前へと進むのかもしれません。
自分の体の中から湧き出てくるもの。今感じたことを大切にすること。または、私というあいまいな境界を意識すること。
絵画の空間も彫刻の空間も、今を生きる私と確かにつながっています。切り離された世界ではありえません。
自身の生と制作行為とが密接に関わる時、生み出されたものもまた息をしはじめます。それは、たとえ多くの矛盾を含んでいたとしても、今を生きる私と同列にある、虚飾のない世界と言えるのではないでしょうか。

鈴木 孝幸


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  • 藤井 龍徳

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    [裏庭の出来事‒門谷小学校 3つの場所の風震計 力の場、火の場、水の場]
    2019年 / 白布、ガンマ線測定値、孟宗竹、真竹、麻縄、場

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  • 鈴木 孝幸 
    [呼吸の場所 place/waterway]
    2019年 / ダム及び河川の水位等のデータ(紙に出力)、宇連川と豊川の水位の線・宇連川と豊川の線・宇連ダムの線(床にチョークで描写)、
    映像、銅パイプ、宇連川の水、ガラス瓶、水性塗料、木の枝、ワイヤー、金具

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  • 大﨑 土夢 [螺旋状のエリア(禍福)] / 2019年 / キャンバス、油彩

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    [螺旋状のエリア(目撃)] / 2019年 / キャンバス、油彩
    [螺旋状の融点スイッチ(2または3)] / 2019年 / キャンバス、紙、油彩、アクリル絵具、色鉛筆、
    油性マジック、オイルスティック、木材、粘土、マスキングテープ、玩具

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  • 大﨑 土夢 2019年 / 展示風景

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  • 大﨑 土夢 [C観察] / 2019年 / キャンバス、油彩

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  • 大﨑 土夢 [プレッツェルの誤算(目撃)] / 2019年 / ベニヤ板、油彩

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  • 大﨑 土夢 2019年 / 展示風景

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  • 大﨑 土夢 [ドローイング解剖学] / 2019年 / 紙、フェルトペン、色鉛筆 、ボールペン

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  • 大﨑 土夢 [二項対立プラクティス#6] / 2019年 / 紙、フェルトペン、ボールペン

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  • 大﨑 土夢 [二項対立プラクティス#5] / 2019年 / 紙、フェルトペン、ボールペン

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  • 大﨑 土夢 [祭壇A] / 2016年 / キャンバス、アクリル絵具

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  • 大和 由佳 ワークショップ[まなざしをまなざす]
    3グループに分かれ、3作家の作品をそれぞれ鑑賞、そこから浮かんでくる言葉を書き出し、
    推察、感想、疑問等をまとめあげた後、作家本人にプレゼンし話し合う。
    つくった人のまなざしとみる人のまなざしが、会話上で反応しあう経験をつくりだすことを試みた。 
      撮影 早川純一

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  • 大和 由佳 トークイベント[例えば高橋さんのまなざしによって]
    高橋啓氏(NPO法人穂の国森林探偵事務所代表)をゲストにむかえ、参加者とともに、制作/鑑賞者の関係が生み出すものを探った。
    高橋氏は、鈴木孝幸が2017年に旧門谷小校庭に設置した[境界をまたぐひと place/fault] を見て、その鑑賞のためのベンチを自作。
    作家との信頼関係のもと、慎重かつ大胆に作品と交わる高橋氏の姿勢が強く印象に残っていたため、ゲストとしてお越しいただいた。
    同じ時代・社会を生きる鑑賞者が、飛躍や誤解を含めた自らの視点で作品を見ることを改めて意識するとき、
    制作者に変化をもたらすか、もたらさないかなどを話し合った。

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  • 大和 由佳 トークイベント[例えば高橋さんのまなざしによって]

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  • 大和 由佳鈴木孝幸

  • 大和 由佳
    最後に、ワークショップとトークイベントを企画した大和から参加者に小品を手渡した。
    小品は三人の出展作家の作品やインタビューの内容から着想して作ったもので、高橋氏の「ベンチ」に倣い、
    鑑賞の応答としての制作という形を提示した。
    (右から、<Fの指をなぞる>、<Oの融点>、<Sの右手の親指から小指の間の長さの定規>)

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